設計雑感(秋) @前田敦

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落ち葉の絨毯が演出する台地に、澄み切った少し肌寒い空気が心地良い・・・

秋と言えば落葉樹が主役となりますが、常緑樹も実は落葉します。
落葉の時期や期間が様々ですが、新陳代謝するためには落葉は必要で
むしろ健康な証しだと言えるでしょう。

既存樹木や新設樹木は住空間を創出する際にとても重要なアイテムになります。
雰囲気だけではなく、暑さ寒さの調整装置としても樹木の存在は環境全体を左右します。
つまり建築空間と一緒に考えるべき存在なのです。

個人的な見解ですが、樹木って居住空間の原型のように思っています。
人が木陰に佇んでいる姿をみると、さながら部屋のようです。

西洋文化によると、「room」の語源は森の伐採された場所、つまり「森の中の空地」です。
東洋文化的には「傘」のような空間こそが空間の原型のように思います。

分厚い「壁」で空間を創る西洋文化と
「屋根」を架構して壁を開放する東洋文化の違いがそこに在るように思います。

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そんな考え方で設計した「木漏れ日屋根の家」は
既存樹木そのものが屋根だという発想によるものです。
丸く欠き取られた建築の屋根は、そこに樹木という屋根が存在しているのです。

この樹木は落葉樹なので、夏は日射しを遮り、冬は太陽光を家の奥深くまで導きます。

前田敦
前田敦計画工房

著者情報

前田 敦前田 敦

前田 敦 まえだ あつし

前田敦計画工房 合同会社

3つのテーマに特化して家づくりに積極的に取り組んでいます。 (1)愛犬と快適に暮らす家づくり (2)愛猫と快適に暮らす家づくり (3)土地・中古物件探しからの家づくり

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オープンハウス(完成見学会)回遊動線のあるつくばの家 3/20(祝) @石井正博+近藤民子

この度、設計事務所アーキプレイスで設計監理しました『回遊動線のあるつくばの家』(木造2階建)が竣工間近となり、建て主様のご厚意によりオープンハウスを開催させていただくことになりました。 つくば市の新旧入り交じる住宅街に建つ、3人家族のための住宅です。 リモートワークが広まり家で過ごす時間が長くなる中、ご夫婦それぞれの仕事場でもある住まいには、より快適に暮らしていけるよう、ゴロンとできる和室、本棚のあるヌック、子供と遊べる南の庭などの場所をちりばめています。 オープンハウス(完成見学会)...