建築家が考えた公募型プロポーザルコンペ落選蹉跌の計画案
今週のリレーブログを担当する石川利治です。今回は私が過去に行ったご提案の中で、何らかの理由で実現しなかった計画案について記してゆこうと思います。いわゆる数々の失敗、敗戦の様子を振り返ると云う少々後ろ向きの内容になりますが(苦笑)、そこから次に繋がる何かが見つけられれば・・・と期待しつつ、記してゆこうと思います。一週間、おつき合い頂ければ幸いです。
最初の案件は、2003年に行われた公募型プロポーザルコンペで「三重県熊野古道センター」です。当時は世界遺産登録を目指していた時期で、情報発信や研究・保存活動の拠点施設としての機能が求められていました。募集要領には、地産材(木材)お活用が望まれており、計画案も自ずと木造で実現可能な提案を行う事になりました。計画案の目玉は、木造HPシェル構造を採用した屋根、天井部分です。ランダムに開口された天井から光が内部空間に降り注ぐ、古道を覆う高木の隙間から木漏れ日が差し込む様子をイメージしました。
実は、このコンペは3名の連名での協同提案でした。これに関しては、良かった面と悪かった面があったと感じます。良かった面としては、客観的な目で計画案をまとめる事ができた事、1人では思いつかない様な新たな発想が生まれる事等です。逆に、悪かった面としては、合議制によるデザインは、中途半端な結果になりがちと云う事です。お互いの個性が相乗効果を生めば、より良い提案となると思うのですが・・・正直、中々難しい話しなのです。
こちらの計画案は、おかげ様で佳作に入賞する事ができました(・・・と云うよりは、一次審査で敗戦したと云う事なのですが)。結果が残って良かったという反面、共同作業の難しさを改めて感じる事になりました。
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