31会での家づくりーひなたの家〜コンセプト・スタディ編〜 @七島幸之+佐野友美

今週のリレーブログを担当しています、アトリエハコ建築設計事務所です。
もうすぐ完成する住宅「ひなたの家」

〜コンセプト・スタディ編〜

設計事務所と設計契約を結んだ後、プロジェクトは、概ね以下の流れで進んで行きます。
・基本設計:間取りの決定
・実施設計:内外仕上げなどの決定、構造設計、住宅設備など諸々の仕様決定
・工務店への見積依頼・金額調整
・建築確認申請、地区計画・条例絡みの役所手続きなど

ひなたの家は、敷地面積約13坪の狭小敷地に建つ、道路から見ると建物の幅よりも高さ寸法の方が大きくなる建物。
一般的な住宅においては、建物の骨格・プランニングの方針が平面の間取りに左右されることが多いのですが、
この住宅の場合は、道路斜線・北側高度地区斜線によって形作られる建物のボリュームに内部空間をどう割り当てるか、
つまり、断面構成が基本設計の最重要課題でした。

最初のプレゼンテーションでお施主さんにご選択頂いた2階建案は、敷地条件から導かれた建築可能な最大ボリュームに対して、
・1階:日常生活に必須の主寝室・子供部屋・浴室・洗面脱衣室・トイレをコンパクトに納めた個室ゾーン
・2階:連続したワンルームの空間内にリビングとダイニングキッチンを立体的に配置した家族の寛ぎゾーン
・中間階:1階の子供部屋を有効活用する為の寝床ロフトと2階から使う蔵収納=日常生活を快適に過ごす為のサポートゾーン
というコンセプトを定めて、それを無駄なく成立させる空間構成を追求したものでした。

また、この住宅の「ひなたの家」という名前は、2階の家族の寛ぎゾーンに、
太陽の光が射し込んでくる情景をイメージしたものでした。

このような断面構成のコンセプトを、実際に成り立たせるために、各部分の平面・断面寸法を詳細に検討するのが、
この住宅における実施設計のポイントだったと思います。
特に、敷地面積13坪×許容建蔽率70%ギリギリの平面の中、1階に各機能スペースを無駄なく納めることがとても難しく、
デッドスペースが無い、廊下部分が極力少ないプランを徹底的にスタディしました。

最終的に、建物中央の横入り玄関、階段下のデッドスペースを利用したトイレ、洗面脱衣室と廊下の兼用などのアイデアにより、
コンパクトで機能的で、個室についても必要寸法をきちんと確保したプランに辿り着くことができました。

続く。

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七島幸之 + 佐野友美 ななしまゆきのぶ さのともみ

アトリエハコ建築設計事務所

詩的にシンプルな、それでいてユーモラスな建築をつくりたいと考えています。 要素を削ぎ落とすのではなく、生活の為の設えがさりげない在り方で生活を彩る、シンプルな家。 姿カタチや空間の佇まいに住まい手の個性が垣間見えるような、唯一無二の「生活の容器」を自由で柔軟な発想で追求します。

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この度、設計事務所アーキプレイスで設計監理しました『回遊動線のあるつくばの家』(木造2階建)が竣工間近となり、建て主様のご厚意によりオープンハウスを開催させていただくことになりました。 つくば市の新旧入り交じる住宅街に建つ、3人家族のための住宅です。 リモートワークが広まり家で過ごす時間が長くなる中、ご夫婦それぞれの仕事場でもある住まいには、より快適に暮らしていけるよう、ゴロンとできる和室、本棚のあるヌック、子供と遊べる南の庭などの場所をちりばめています。 オープンハウス(完成見学会)...