床材の土間コンクリートモルタルタイルのメリットデメリット

今週のリレーブログを担当しますギルド・デザインの磯村です。

最後は、最近見直されて使わせることが多くなっている土間です。
土間といっても、コンクリートやモルタル、タイル、昔ながらの三和土と、材料に様々な種類があり、使い方も普通に下足を履く土間のような使い方もあれば、靴を脱いで使う床材の一つとして使う場合もあります。
使うもの、使い方によってメリット・デメリットも変わってきますが、ざっくりと共通しそうな点をまとめてみました。

◯ メリット

1、蓄熱性の高さ
コンクリートやタイルなどは、蓄熱性能が高いので、熱をたくさん蓄えて、全面に熱が広がります。床暖房や置かれた薪ストーブと相性がいいとも言えます。
冬期、日当たりの良い部分はたくさんの熱を蓄えて、日が落ちてから放熱が長く続区ので、省エネにもなります。夏の日当たりには注意が必要ですが、日の当たらない部分は冷えを蓄えているので、歩くと涼しいということにもなります。

2、掃除が楽
モルタル、コンクート、タイル(室内用)などは、硬く平らな仕上がりなので、掃除が楽ですし、防塵塗料を塗っているはずなので、水汚れにも強いです。
土足利用の土間の場合なら、少しの汚れは気にならないので、それだけでも楽に思えます。

3、無機質なクールな感覚
最近、土間床がちょっと流行っているのは、無機質感や均質な感覚がだんだんと受け入れられてきているからだと思います。他の材料にはない表情を作ってくれます。
以前は、コンクリート打放しも敬遠されがちでしたが、今では段々日常的なものになっているように、床材も変わってきているのだと思います。土間コンクリートの床を、床仕上げの一つとして使う人も多いです。

4、外部空間(庭)とのつながり
視覚的にプライベートな外部空間とのつながりを作りやすいだけでなく、土足利用の場合は、ガーデニングや家庭菜園などの室内作業の場所としてとか、自転車やベビーカーの置き場としてなど、住宅としての用途を広げてくれる室内となります。

◯ デメリット

1、冷え込み
土間コンクリートやモルタル、タイルなどは、基本的には冷やっとする材料です。暖房を上手に考えていないと、冬の冷え込みは厳しいことになります。これは、熱容量が大きいという利点のひっくり返しで、温めるには時間がかかるということもあります。

2、クラック(ひび割れ)が入る。
タイルや石張りの仕上げなら問題ないのですが、流行りのコンクリートやモルタルは本来クラック(ひび割れ)が入る建材です。

3、硬い
部分的な土間なら良いのですが、全面土間だったりすると、硬い床のため、生活をしているだけでも足腰が疲れると思います。キッチンだけでも、人によっては辛くなことがるかもしれません。フローリングやカーペットを併用したほうがいいと思います。
食器など、落とすと確実に割れます。その硬さですから、お子さんや高齢者の場合、転んだりすると危ない床材です。

4、音が響く
硬いだけにとても音が響きます。部分的な土間であれば問題ないのですが、全面を土間とした住宅が時々あります。扉の開け閉めや歩く音などが、他の部屋にも伝わります。

5、意外に汚れます。
タイルや石については、吸水することがほとんどないのですが、コンクリートやモルタルは、吸水するために問題となります。防塵塗料などが塗られているのはずなので、撥水しますが、長い間には、染みやすくなり跡として残ります。この汚れ取りはちょっと大変です。

 

最後になりますが、それぞれの床材は結局のところその素材の特徴や良さが、デメリットにもつながるところがあり、適材適所、クライアントの住まい方や条件、好みを反映させて選択していく必要があります。
そこのところで、設計者は、対策を考え、良いものを選んでいかなければならないと思っています。

 

1_フローリングのメリット・デメリット

2 カーペット(&畳)のメリット・デメリット

ギルド・デザイン HomePage

ギルド・デザイン FaceBook

磯村一司+政本邦彦
ギルド・デザイン一級建築士事務所

著者情報

磯村 一司 + 政本 邦彦磯村 一司 + 政本 邦彦

磯村 一司 + 政本 邦彦 いそむらかずし まさもとくにひこ

株式会社ギルド・デザイン
一級建築士事務所

風や光、素材の扱い方、住宅としての生活のしやすさ、それらをバランスよく、シンプルでさわやかで心地よい、その上で、建主さんの考える一つ先のデザインを提案します。

− 最新イベント情報 −

「江戸Styleの家」オープンハウスのお知らせ 2024 年11月30日(土) @小泉拓也+栗原守

「江戸Styleの家」オープンハウスを11月30日(土)に開催します。2005年7月に竣工した自邸兼モデルハウスです。約19年が経過していますので、無垢の木などの自然素材が時間の経過とともに美しく変化(経年美化)している様子を確認することもできます。自然素材の小振りな住まい、あたたかく気持ちのよい和モダンな住まいの雰囲気をご自身の目と心で体感してください。 *「江戸Styleの家」はエコの取り組みでグッドデザイン賞を受賞しました。 *2021年12月「渡辺篤史の建物探訪」、「突撃!隣...