家を解体し地盤を元にもどすことを考えてみる。「地盤から考える家づくり」@古川達也

住まいづくりを考えるとき、丈夫で使いやすい家。心地良く快適な家。出来れば経済的で素敵な家が欲しい。暮らしの拠点となる家を作ることを考え、誰もが必死になります。しかし一方で、住まい本体と同様に土地そのものも財産であり、ご親族など次世代へバトンタッチし、後世に引き継ぐ大切な宝物と言えます。住まいは、いつか必要に応じ建て替えることも有り得るとすれば、地盤に異物を残さず、土地を元の地盤にもどすことや、もどせる方法なども考えてみたいところです。

◆異物を残さない地盤補強とは

例えば建設した住まいを将来解体し、地盤を元の土地にもどしたいと考える時、建設時に手を入れた地中深く残る地盤補強の異物が問題になります。補強として設けた杭状の異物などを地盤に残さない地盤補強を「異物を残さない地盤補強」と位置付け、異物そのものを取り除き易い工法例や、そもそも異物がはじめから無い工法例を紹介します。


地盤補強例:RES-P工法で現場搬入された鋼管パイプ

 

◆異物が取り除き易い工法

例)RES-P工法:
→先端に突起などがない細い鋼管パイプを複数貫入する地盤補強のため、将来建物を解体した場合、比較的容易にパイプを全て抜くことが出来ます。(地盤補強例の解説参照



RES-P工法施工の概略図と、地盤を元にもどすために抜いた鋼管の様子。

 

◆異物がはじめから無い工法

例)プレコンサンドパイル工法:
→圧密用の砂を圧入することで地盤を締め固める地盤補強のため、はじめから杭状の異物などを地中に残さない考え方の技術です。(地盤補強例の解説参照


地盤の弱い部分に圧入した砂が行き渡る考え。異物を残さず同時に効果を持続させることができる。

資料提供:エイチ・ジー・サービス株式会社

 

◆地盤をみつめるまとめ

地盤の状況を知るために地盤調査が必須であることを知りました。地盤が良いことに越したことはありませんが、地盤が弱い場合も諦めず、地盤補強を行う技術も数多くあり、選択出来ることを知りました。

地盤から考えてみる、かけがえのない家づくり。
建物本体としての住まいだけでなく、大事な足元である地盤をみつめ、地盤を知ることで、拠点としての家や建物への信頼が増し、家族を守る住まいが、もっと好きになるように思います。

古川達也
古川都市建築計画一級建築士事務所

 

著者情報

古川 達也古川 達也

古川 達也 ふるかわ たつや

古川都市建築計画

住まいが安心で心地いい。そして住まいに感動がある。 そういう家づくりのお手伝いをしたいと思っています。

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