「キッチンの天板は何にする?」@小林 武

家づくりの中でも拘りたい場所の一つにキッチンがあります。オープンキッチンの場合は特にデザイン(見栄え)にも拘りたいと考えていらっしゃる方が多くいるのではないでしょうか?毎日、食事を作ったり食器を洗ったりと作業スペースでもあるキッチン。でも美しいキッチンがほしい~!。悩みますよね。そんな貴方にキッチン空間で主張が強い、天板について少しお話したいと思います。

キッチンの天板に使う素材にはステンレス、人造大理石、天然石、セラミックタイル、磁器タイル、左官研ぎ出しやモールテックス、木材などあります。

・ステンレス
ステンレスという金属は錆びにくく丈夫な素材です。表面処理により抗菌作用もある製品があります。レストランの厨房などはほとんどステンレスですよね。キッチン天板として優れた素材と言えるでしょう。昔からあるエンボス調のステンレスは安っぽいと感じている貴方。実はステンレス表面処理には色々あり、ヘアーラインやパーマネント仕上げなど高級感を演出する仕上げもあります。ちなみにシンクもステンレスが多く使われますが、溶接によりシームレス(継ぎ目がない)に加工でき継ぎ目のカビ発生の抑制にも対応できます。注意点はスポットライティングによりグレア(まぶしい光)を起こすことがありますので、水栓等のグレア反射含め照明計画には注意が必要です。

・人造大理石
実は人造大理石にはピンからキリまで価格が違う製品があります。白、アイボリーやごま塩(私は御影石調をごま塩と呼んでいる)であれば安価な製品も多々あり、デュポン社コーリアンなどでは高級な色合いもあります。白っぽい製品の場合、樹脂製品ですので熱いフライパンなど直接置くと黄色く変色することがあります。またコンロ前(背面)に水返しを設置する場合は日々の熱で変色する事がありますのでステンレスなどでバックバードの設置をお勧めいたします。ステンレスに抵抗がある方で機能性は落としたくない方にお勧めです。
ちなみに最近は擦れ汚れには注意ですが、人造大理石のシンクもありシームレスの対応もできます。

・天然石
天然石天板には大きく分けて御影石と大理石があります。いずれも高級天板です。
天然素材ですので耐久性は他の素材に比べると高くありません。特に大理石は熱に弱く余程の拘り(ピザを練るなど)がないとお勧めできない素材です。しかし、他の素材と比較しても圧倒的な存在感、世界に一つしかない天板となりラグジュアリーな空間にはピッタリの素材です。

・セラミックタイル
最近システムキッチンメーカーでも増えてきたセラミックタイル。1枚が1m×3m程度という大きなタイルで熱や傷に強い素材です。私自身、今までの実績では使用した事がありませんでしたが、現在設計中のオーダーキッチンに採用しています。シンクとの継ぎ目が気になっていますが素材自体は優れています。ブランドにもよりますが高級な物は少し凹凸があり台拭きも気になる所です。ちなみに私が検討したブランドは「デクトン」「ネオリス」「ラミネム」です。

・磁器タイル
可愛らしいキッチンや少しインダストリアル(工業的)な感じのキッチン空間には磁器タイルも良いと思います。しかし、タイルには目地があり、白系目地は掃除を覚悟でお選びください。また濃い色目地でも油染みなどが生じます。少し汚れてもO.Kな育てるキッチンにはピッタリだと思います。

・左官研ぎ出し、モールテックス
左官研ぎ出しとは昔の京都町屋の台所などで使われていた素材です。職人さんが鏝で形を造った後、研磨して仕上げます。ヒビが入りやすかったりで、今ではあまり使わない素材ですが、いつか私も採用したい素材です。それに近い素材でモールテックスという素材があります。研ぎ出しと同じく左官職人が塗り込み形を造りますので曲面などもO.Kです。仕上がると結構硬度も高く、ひび割れもし難い素材ですので、モルタル塗りっぱなし的なラフな感じにしたい場合はお勧めです。

・木材
キッチンをより家具っぽく演出したい時は木材天板も良いと思います。しかし、皆さんお分かりの通り、水と熱には弱いので数年後にはメンテナンスを覚悟して選定する事が必要です。保護塗料も現在多種ありますが、他の素材に比べると耐久性は劣ります。しかし、木材ならではの温かみは他の素材では代替えはできません。和風でもカントリー調でも木製天板ならコーディネイトし易い素材でもあります。

天板の素材によりキッチンの作業性や空間は大きく変わります。また素材だけでなく天板厚さや細部の形状もイメージを決定する大きな要因となります。是非、家づくりのパートナーとして、あらゆる住宅を設計している建

著者情報

小林 武小林 武

小林 武 こばやし たけし

KOB建築設計事務所

たまには空を見上げませんか?たまには逆立ちしませんか? お気に入りの靴を履いて出掛ける時って少し気分がスゥーっとして気持良くなる事があります。 些細な事かもしれませんが,こんな[何と無く良いね]を常に考えて建築設計をしています。 この何と無く良いねと建物にかける費用は必ずしも比例しません。比例するとしたらその行為に関わる人たち(顧客・設計者・監理者・施工者)の発想や情熱また努力だと思います。 その中で私たちKOBは機能性・安全性・設計者の立場の独立性をまず第一に考え,それから一歩先にある心地よさや感動を求めて一つずつ丁寧に考えて皆様の期待に応えていきたいと思います。

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オープンハウス(完成見学会)回遊動線のあるつくばの家 3/20(祝) @石井正博+近藤民子

この度、設計事務所アーキプレイスで設計監理しました『回遊動線のあるつくばの家』(木造2階建)が竣工間近となり、建て主様のご厚意によりオープンハウスを開催させていただくことになりました。 つくば市の新旧入り交じる住宅街に建つ、3人家族のための住宅です。 リモートワークが広まり家で過ごす時間が長くなる中、ご夫婦それぞれの仕事場でもある住まいには、より快適に暮らしていけるよう、ゴロンとできる和室、本棚のあるヌック、子供と遊べる南の庭などの場所をちりばめています。 オープンハウス(完成見学会)...