『間取りの模範解答』室内干し用のスペースが便利な住まい @古川達也

建築家31会の新刊『間取りの模範解答』p45に、古川達也の設計した個人住宅「寄り道できる家」の間取りが掲載されています。誌面では伝えきれなかった解説や完成写真などを加えて、この住まいの魅力をご紹介します。
「洗濯物を外に干したくない」「外干し用のバルコニーは必要ありません」。この頃そうお話されるご家族が増えました。花粉症、共働き、ゲリラ豪雨、外に干したくない理由はいくつもあるようです。それなら、室内干し専用の部屋を一つ設けましょう。この住まいでは2階南東の角に約2畳半の物干し部屋を設けています。
いわゆるサンルーム的なガラス張りの空間でなく一見ふつうの個室です。というのも、室内干しの部屋に求められる条件は、風が通り抜けていくために必要な2カ所以上の窓、花粉が飛ぶ時期は窓を閉めても湿気が排出される給気口と排気口(換気扇)だけなので。洗濯機や乾燥機が置ける広々としたランドリールームもいいですが、この住まいのような小さな物干し部屋でも役目はきちんと果たしてくれます。タオルや下着などの収納棚とアイロンがけのできるカウンターは、実際に凄く便利でおすすめです。
一方、この住まいは楽しい町歩きのように、近道があったり遠まわりしたり、色々な寄り道ができる住空間になるようご家族と楽しみながら設計できました。玄関へ行こうとして庭に寄り道。キッチンに行こうとしてスタディコーナーに寄り道。2階へ上がる前にゴロ寝で和室に寄り道など、何かへ向かう途中で寄り道したくなる感覚を大切にした住まいです。室内物干し部屋も、寄り道空間として洗濯物を干したりたたんだり、家族が互いに自然と平等に協力し合い、家事に関わり易くする空間になりました。

『間取りの模範解答』p45「寄り道できる家」間取り

移動可能オリジナル造作机のスタディコーナー。

居間とキッチンの間にスタディコーナーがある。

2階へ上がる前にゴロ寝で和室に寄り道。笑
撮影:塚本浩史
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