『間取りの模範解答』広い玄関土間と長い玄関土間が快適な住まい @古川達也

建築家31会の新刊『間取りの模範解答』p101に、古川達也の設計した個人住宅「長い土間で迎える家」の間取りが掲載されています。誌面では伝えきれなかった解説や完成写真などを加えて、この住まいの魅力をご紹介します。
以前に比べると自宅に来客を招く頻度は減ったように感じます。友達と会って話をするなら家よりも駅前のカフェで、という人も多いのではないでしょうか。それでも家づくりの打合せになると「わが家は意外と来客が多いんです」という話になることがあります。頻繁に来客を招かないとしても、何かの機会にいつでも来客を招くことができる、と思える住まいだと嬉しいという感覚もあります。
この場合に考えておきたいのが、玄関から室内までのさばき方です。設計当初から来客が多いことが想定されたこの住まいでは、玄関の土間を室内の中ほどまでぐーっと延ばしています。そして廊下のような土間の両側に、小上がり状のダイニングと和室を振り分けています。最大のメリットは、大人数が中まで一気に入れること。靴を同時に脱げるうえ、誰かが靴を移動しなくても自然に横一列きれいに並べられることです。
玄関から続く広い玄関土間としての土間収納は、この住まいの暮らしを支えるバックヤードとして重要視。そして長い玄関土間としての土足廊下は、大人数の来客でも靴の脱ぎ履きで渋滞を発生させない。他人の靴を踏んで進むなんてことも全くありません(笑)。靴を履いたまま小上がり状の和室の畳に座ってもよし、ダイニングの床に腰掛けてもよし、くつろぎ方も選べる楽しい空間です。この家の子供は靴を揃える習慣が身についてきているようで、想定外の嬉しい発見もありました。
※合わせてご覧ください → 広い玄関土間とシューズクローク下足収納

『間取りの模範解答』p101「長い土間で迎える家」間取り

玄関土間を室内の中ほどまでぐーっと延ばしています。床仕上げは墨入りモルタル。

玄関土間から直接キッチンに行けるので快適です。

玄関土間から連続する土間収納。
撮影:塚本浩史
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