年の瀬もおしせまり_1 石川利治

2012年最後のパドログを担当する石川利治です。
年の瀬もおしせまった1週間の出来事を綴ってゆこうと思います。なにとぞ宜しくお願い致します。

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ご縁あってオーナーさんとお知り合いになった雑司ヶ谷の料亭「寛」のクリスマス会席を頂く事にしました。昭和初期の山窩作家、三角寛の晩年の居宅で、建物は大正期に作られた重厚な木造住宅です。決して大邸宅と云う訳ではありませんが、現在の住宅事情からすれば、ゆとりのある空間づくりがなされています。道路に面する敷地境界は漆黒の板塀に囲まれ、南東の角に観音開きの門構えを備えており、ひとたび板戸をくぐれば、提灯が灯る異次元の世界がそこに広がります。石が敷き並べられ玄関先では、独特の意匠と遊び心を感じさせる框戸が迎えてくれ、4M四方の小さな空間ですが、作り込みが凝縮された濃密な雰囲気が漂います。隅々まで手入れの行き届いた様子と相まって、少し緊張感を覚えました。
通された部屋は、掘り炬燵形式の着座が可能な六畳間でした。竣工当時の色使いである赤を基調にした壁と木製の建具で構成されています。建具や架構の取合い部は、意匠性の高い作り込みがなされていますが、現在の建築ではなかなかお目にかかれない、太い木材がふんだんに使われており、どちらかと云えば骨太な力強さが感じました。磨き上げられた木の表面は経年変化と共に、奥深い艶を帯び、重ねられた時の深さを想像させられます。そんな現代では希少価値を感じる重厚な空間に運ばれて来るお料理は、華やかで繊細な作り込みがなされていました。その絶妙な対比によってお互いがさらに映えるのだと感じました。お味も方も、とても美味しく、おかげ様で、大変心地の良いひと時を過ごさせて頂きました。

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石川利治
3*D空間創考舎一級建築士事務所

著者情報

石川 利治石川 利治

石川 利治 いしかわ としはる

3*D空間創考舎一級建築士事務所

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この度、アトリエハコ(@七島幸之+佐野友美)で設計監理を行った「松原のスパイラルハウス」が完成致します。 お施主様のご厚意によりオープンハウス(完成見学会)を行わせて頂く運びとなりました。     私鉄線路脇の敷地。 ふとした瞬間にそこにある電車の往来の光景を、 光と音による「スピード(=今この瞬間の時間)」のスペクタクルとしてポジティブに捉えて、 そのエネルギーを「位置エネルギー」として住宅内に保存すべく、空間構成をスタディした。 自然光が射す明る...