年の瀬もおしせまり_1 石川利治
2012年最後のパドログを担当する石川利治です。
年の瀬もおしせまった1週間の出来事を綴ってゆこうと思います。なにとぞ宜しくお願い致します。
ご縁あってオーナーさんとお知り合いになった雑司ヶ谷の料亭「寛」のクリスマス会席を頂く事にしました。昭和初期の山窩作家、三角寛の晩年の居宅で、建物は大正期に作られた重厚な木造住宅です。決して大邸宅と云う訳ではありませんが、現在の住宅事情からすれば、ゆとりのある空間づくりがなされています。道路に面する敷地境界は漆黒の板塀に囲まれ、南東の角に観音開きの門構えを備えており、ひとたび板戸をくぐれば、提灯が灯る異次元の世界がそこに広がります。石が敷き並べられ玄関先では、独特の意匠と遊び心を感じさせる框戸が迎えてくれ、4M四方の小さな空間ですが、作り込みが凝縮された濃密な雰囲気が漂います。隅々まで手入れの行き届いた様子と相まって、少し緊張感を覚えました。
通された部屋は、掘り炬燵形式の着座が可能な六畳間でした。竣工当時の色使いである赤を基調にした壁と木製の建具で構成されています。建具や架構の取合い部は、意匠性の高い作り込みがなされていますが、現在の建築ではなかなかお目にかかれない、太い木材がふんだんに使われており、どちらかと云えば骨太な力強さが感じました。磨き上げられた木の表面は経年変化と共に、奥深い艶を帯び、重ねられた時の深さを想像させられます。そんな現代では希少価値を感じる重厚な空間に運ばれて来るお料理は、華やかで繊細な作り込みがなされていました。その絶妙な対比によってお互いがさらに映えるのだと感じました。お味も方も、とても美味しく、おかげ様で、大変心地の良いひと時を過ごさせて頂きました。
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2025年9月20日(土)「自然素材の平屋の木の家」完成現場見学会のお知らせ @小泉拓也+栗原守
中野区の「自然素材の平屋の木の家」は平屋の約33坪の住まいです。建築主さまのご厚意により2025年9/20(土)完成現場見学会を開催させていただくことになりました。リビングダイニングとつながる大きなデッキテラスで内と外の暮らしを楽しむことができる平屋の木の家です。 無垢の木や左官の薩摩中霧島壁、沖縄の月桃紙、天井のくりこま杉などの自然素材でできた温かく気持ちのよい空間の雰囲気をご自身の目と心で体感してください。 家づくりを検討中の方のご参加をお待ちしています。時間指定で3組限定の見学...