壁をガラスに置き換えて得られる室内の広がりと明るさ@石川 利治

外壁に開口(窓)を設けることは、光や空気を取入れるために住宅には欠かせないものです。そこに求められる性能は風雨をしのげる事はもとより、防火上の制限や特に近年では断熱といった様々な要素が絡み、ある意味制約が多い部位と考えても良いでしょう。そこに使われる「ガラス」も時代のニーズに合わせて進化しているといえます。

このガラスを室内で使う場合は、外壁に使うより少し自由度が上がります。火災、あるいは耐風圧といった外壁の開口では制限されて使えない材料や大きさであっても、室内では使用できるといった事も生まれてきます。特に一般的な住宅で使う場合は法規的な制限も減るため、使用箇所の可能性は広がります。

透明でありつつ空気の流れを遮断できるガラスという材料は、本来は壁で仕切りらなくてはならない部位を透けた間仕切りに置き換える事ができます。効果的な使い方ができれば、視覚的な繋がりが生まれ、空間に広がりを与える事ができます。もちろん、よりプライベート性の高い、視線を遮断したい部位には透明なガラスという訳にはいきませんが、この場合も磨りガラスやフィルムを組み合わせたりする事でさらに可能性は広がります。

今回の大津の住宅では、階段室と一体になった玄関が2層分の天井高さになっており、吹抜けに隣接した2階部分にリビングが設けられています。この部分の間仕切りをガラスにする事で、リビングの床面積以上に視覚的な広がりを生み出しています。外壁に面していない建物中心部分のリビングにも、吹抜けに面した玄関扉上部に設けた開口からガラス間仕切りを介して陽光が差込みます。

空間の気積はガラス間仕切りにより小さく抑えられているため、空調の効率はあがるといった省エネルギー面もさることながら、視覚的な広がりと光の変化による時々刻々の移ろいを感じられる事が空間の居心地をより高めるのではないかと考えております。

著者情報

石川 利治石川 利治

石川 利治 いしかわ としはる

3*D空間創考舎一級建築士事務所

お客様にとって「快適で上質な空間」をお話をしながら、 きめ細かく建築に盛り込みます。コミュニケーションを大切にし、 技術力と感性の統合を行い、最適なご提案を致します。

− 最新イベント情報 −

オープンハウス(完成見学会)回遊動線のあるつくばの家 3/20(祝) @石井正博+近藤民子

この度、設計事務所アーキプレイスで設計監理しました『回遊動線のあるつくばの家』(木造2階建)が竣工間近となり、建て主様のご厚意によりオープンハウスを開催させていただくことになりました。 つくば市の新旧入り交じる住宅街に建つ、3人家族のための住宅です。 リモートワークが広まり家で過ごす時間が長くなる中、ご夫婦それぞれの仕事場でもある住まいには、より快適に暮らしていけるよう、ゴロンとできる和室、本棚のあるヌック、子供と遊べる南の庭などの場所をちりばめています。 オープンハウス(完成見学会)...