ひとつの現場が終わって @磯村一司

今週の建築家、ギルドデザインの磯村です。

先月、当社では初めての山梨県の住宅が完成しました。

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工事が完了して、建主へ引渡ができるようになれば、その完成した若々しい状態の建物をとどめておくために、竣工写真というものを撮ります。
この住宅では、工事の終了と引っ越しまでに間がなく、外構工事も完了していなかったので、後日の撮影をおねがいしてあるのですが、一応、引っ越し前の慌ただしい時間の中でも、知人に撮影をしてもらいました。
その写真が先日送られてきましたので、今日はその写真のお披露目です。

敷地は、甲府市内の山の中腹、傾斜地で、道路が敷地の高いところにあり、ひな壇状に東へ下がっています。
南には既に住宅が建っているのですが、敷地東端に立てば、南南東に富士が望めます。東へ傾斜する敷地は、東の谷間に開き、向かいの山の緑豊かな尾根を、南東には甲府盆地、甲府市内を見おろすことができます。

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敷地東の谷への斜面と向かいの山の尾根。木々が季節を伝えてくれます。

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敷地の東端に立つと、甲府盆地越しに富士山が望めます。

道路に接する敷地の高い側に駐車場と玄関、同じフロア(2階部分)にLDKと、客間としての和室を設け、階段で1階におりるとプライベートフロアとなる計画を提案し、採用されました。

これだけの敷地ですから、まず考えるのは、Viewのすばらしさを生活のシーンの中にどうやって取込むかです。リビングとダイニングのどちらからも、尾根と富士が見られるようにするために、南東のコーナーに外部と内部をつないでくれる、広いバルコニーを配置して、リビングとダイニングキッチンは、バルコニーをL型に囲むようにしています。しかも、2階を1階よりも、東側に跳ね出す構造にすることで、さらに自然の中に飛び出し、豊かなViewを確保しています。

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バルコニーからは山の緑、甲府市内、富士(雲で隠れていますが)が一望できます。
2階が跳ね出すことで南側の家はほとんど気になりません。

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バルコニーを囲むリビングとダイニングキッチン。
リビングの薪ストーブの向うには、バルコニー越しに富士山が望めます。

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ダイニングキッチン。おおきな窓はバルコニーとつながり、山々の木々からは季節の移り変わりを見渡すことができます。南東に開いた小さな窓は富士の方向です。

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リビングには空調機がありません。間接照明の入ったスリットが、空調の吹き出し口を兼ねています。

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客間としての和室。足入れのある座卓は床下へ収納され、縁なし畳の敷き詰められた8帖になります。

1階におりたところは、プライベートなファミリールームになっています。この場所を中心に、主寝室と二つの子供部屋、水廻り諸室がつながっています。

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ピアノが置かれるファミリールームでは、お子さんの勉強、調べもの、小さな演奏会も計画されています。
正面がドアが子供室入口、左手に階段ホールと水廻り諸室がつながります。

_DSC0008階段を下りたホール。奥が主寝室、左手にファミリールーム。洗面台の手前にはもう一つの洗面所(脱衣室)、浴室、トイレ、家事室など水廻り諸室が控えます。

ひな壇状の傾斜地のため、基礎工事には、かなり時間がかかりました。
建主さんといっしょに悩み、仕上げを選んできた計画です。
時間はかかりましたが、終わってみるとあっという間です。
これからは建主ご家族が、この住宅を育てていってくれます。
引渡は、喜びとともに寂しさ、期待を思う時です。
愛情を持って育てた自慢の子供が、独立していくときと似ているかもしれません。

建築家と建主の関係は、ここがひとつの区切りとなりますが、これから長く住んでいただく間は、ずっと続いていくものだと思っています。メンテナンスだけでなく、建主の生活の変化に応じた住まい方やリフォームの相談には、よく声をかけていただいています。
我々としても、成長した我が子と会うような気持で、お邪魔できることが、とてもうれしいものです。

建主は、当初、お知り合いの造園屋さんに植栽をお願いするとおっしゃっていたのですが、先日、植栽計画への依頼をいただきました。
またしばらくこの現場へ通えそうです。

磯村一司+政本邦彦
ギルド・デザイン一級建築士事務所

著者情報

磯村 一司 + 政本 邦彦磯村 一司 + 政本 邦彦

磯村 一司 + 政本 邦彦 いそむらかずし まさもとくにひこ

株式会社ギルド・デザイン
一級建築士事務所

風や光、素材の扱い方、住宅としての生活のしやすさ、それらをバランスよく、シンプルでさわやかで心地よい、その上で、建主さんの考える一つ先のデザインを提案します。

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