遮音について3@菰田真志+菰田晶
今週のリレーブログを書かせていただきます菰田建築設計事務所の菰田真志です。
遮音に関して少し書かせていただいています。
本日が最終日になります。
住まいの遮音を考えるときの 中から中への音 ということを考えます。
建物内の音に関しては、上下階の音の伝わり、横への音の伝わりがあります。
上下階の音の伝わりに関しては、まずプラン上ある程度考えておくことで軽減できます。
寝室の上に来る部屋はそれほど大きな音のしない部屋にしたり、トイレの配管が天井裏に来ない様にしたりといった配慮をすることは効果が大きいです。(トイレ配管も最近は音を小さくする効果のある商品も出ていますのでそれを採用することも多くなっています。)
特に二世帯住宅で上の階に小さな子供がいるときなどには、上下の音の伝達をきにする必要がでてきます。プランの段階で無理なく出来ることは対策しておきましょう。
その上でどうしても上の部屋の音が気になる場合には、下の部屋の天井を吊る野縁を直に二階の床から釣らず、ゴムを使った防振吊木のような商品を使うことも出来ます。これは、二階の床の振動を直接1階の天井に伝えないことで、足音などの伝達を減少させる効果があります。
床材などの下に敷く遮音シートなどを使うこともあります。
次は部屋同士の横への音の伝わりに関してです。
通常の部屋同士の間仕切壁はそれほど防音に気をつけていないことが多いですが、必要のある場合には、やはり前回書いたように「重さ」「共振」等にきをつけてかべを作ることでかなり違ってきます。
たとえば寝室を簡易な防音室にしてオーディオルーム等にする場合などは、隣の部屋との間の壁などはボード二重貼にして壁の内部にセルロースファイバーを充填すると効果が高いです。セルロースファイバーは価格が高いということであればグラスウール等の断熱材を充填して空気の振動が伝わりにくくすることで、音の減衰の出来てボードの共振も抑えることができます。床下や天井うらにも断熱材を貼って反響をおさえましょう。扉もできれば四周を二重戸当りにしたり、内部にグラスウール等を充填したり、ピンチブロック等で気密するなど対策ができると効果が高くなります。
更に本格的なオーディオルーム・ピアノ室など、大きな音が出る、時間を問わず大きな音で楽しみたい、周囲の音をシャットアウトしたい場合には性能の高い防音壁で囲われた部屋を入れ子状にして縁を切り、接する部分はゴム等でお互いの振動が伝わらないようにすることで大きな効果を得ることができます。ただし、壁厚が非常に厚くなり出来上がりの部屋よりもずっと大きなスペースを必要とするため、初めからしっかりと計画しておく必要があります。また、工事が複雑になるため費用もかかってきます。そのかわり単に壁の仕様を上げた場合よりも断然効果が高くなります。こだわったピアノ練習室、レコーディングスタジオ、音楽ホールなどはこういった念入りな防音をした上で内部の音響設計をしています。
駆け足でしたが、遮音方法の概略を書いてみました。
設計段階でしっかりと計画することは当然ですが、遮音に関しては施工精度やディテールで仕上り性能が違ってきますので、施工の管理、設計監理ともに非常に重要です。
自分が求めている性能がどのくらいのもので、効率よく実現するのにはどうすればいいのかを相談したいときには、是非、設計事務所に設計監理をご相談してみてください。
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