リフォームとリノベーションのちがい@中西ヒロツグ
今でこそ一般的になった「リノベーション」ですが、その意味をちゃんと理解して使っている人はどれだけいるでしょうか?最近は不動産広告でも「リノベーション済み」などと書かれているのをよく見かけますが、実態は内装や水廻りを更新しただけのリフォームがほとんどで、少しイメージが先行している感があります。
そもそもリフォームとリノベーションの違いは工事規模の大きさだけではなく、リフォームが当初の性能や機能の回復を目的としているのに対し、リノベーションは既存の建物に新しい価値を生み出すことを目的としています。そのためリノベーションでは、既存建物のポテンシャルを分析し、活かすアイデアが求められます。ただ古いものを利用するだけでなく、その魅力を高めて新たな価値を生み出すリノベーションだからこそ、建築家の能力が必要とされているのです。
このようなリノベーションでは、既存建物へのリスペクトが不可欠です。どのような建物でも、建築に携わった人々の努力が少なからず詰まっています。その思いを感じられなければ、建て替えたほうが良いでしょう。つまりリノベーションとは造り手たちの思いを継承し、彼らとコラボレーションする気持ちが求められます。
しかもリノベーションは、プランやデザインの変更にとどまりません。その最たる例が「コンバージョン(用途変更)」です。従来の使い方が時代に合わなくなったものを、その地域に求められる用途や性能に合わせてリノベーションする行為です。

土地にしがみついて用途を限定すれば、バージニア・リー・バートンの「ちいさいおうち」のように、劣悪な環境で我慢を強いられることになります。都市の変化や技術革新が激しい昨今、時代や環境に合わせて建築をカスタマイズするアイデアも求められています。
つまり「リノベーション」とは、「建物の価値を最大化する」ということです。ぜひ建築家のアイデアを活用し、建築のレガシーを受け継いでいただきたいと思います。
− 最新イベント情報 −
『間取りの模範解答』刊行記念セミナーのご案内 2025年11月14日(金)18:00~19:30
『間取りの模範解答』刊行記念セミナーのご案内 8月5日に発売された建築家31会監修の書籍『間取りの模範解答』の刊行を記念し特別セミナー(無料)を開催します。書籍で掲載された注目の間取りを紹介しながら、住まいづくりに関心のある皆さまが気になる、好かれやすい間取り・敬遠されがちな間取りの具体例やその理由などを、31会の建築家が講師をつとめ分かり易くお伝えするリモートセミナーです。スマートホンやご自身のパソコンなどから、どなたでも参加できますので是非気軽にお申込み頂きたいと思います。※セミナー申...


