「家電製品 」@小林真人

私達の生活にとって家電製品は欠かせないものです
住宅を造る時,こだわりたい物のほとんどは製作したり造り付けたりしてオリジナルのものが手に入れられるのですが,家電製品はそうはいきません。
ですから,どこでどんな家電製品を使い,どう置いたりしまったりするかを考える必要があります。
そのまま置けば目に見えるものなので,デザインが空間にふさわしいかを吟味する訳ですが,適したものが見つからない・存在しないという場合もありますし,合わないけれど買い替えたばかりなので手持ちのものを使わなければいけないといったケースもありますよね。
後者の場合の解決方法として,家電製品を直接見えない様に収納内に収めたり設置場所に扉をつけるという解決方法をとる事も多いと思います。

ただ気をつけなければいけないのは,家電製品は建物より寿命が短く,時代とともに存在そのものも含めて変化していくという事です。

私が建築の仕事を始めた頃は,電話は家に一箇所という時代から電話コンセントを設ける事で複数箇所で使用する家が増えはじめ,当時はどの部屋に電話コンセントを設けるか?子供部屋にも設けるべきか?などというのが打合の必須事項でした。
ところが今はワイヤレスが当たり前ですから固定のコンセントは親機の所だけ,というケースがほとんどです。
インターネットの普及とともにまったく新たな要素としてLAN端子が出現し,ワイヤレス化により再び端子が必須ではなくなる といったケースも電話に似ていますね。

一般的に家電製品(特に白物家電)は技術が進歩とともに小型化するのが常でしたから,以前は家電製品を収納する場合,その時に選択した物に対して少し余裕をみれば良かったのですが,それが常とは言えなくなってしまったので注意が必要です。

そいう事態が初めて起こったのが白物家電の代表格である洗濯機でしょうか。洗濯機は見せたくないので収納内に収めるというケースが多かったのですが,15年ほど前だったでしょうか,洗濯機の大容量化ブームが起こり,洗濯機の基本寸法が一気に大型化してしまい,買い替えに困ってしまった時期があります。
ところが今は再び同容量でもだいぶ小型化が進んできました。
電子レンジもオーブン機能の併用により大型化しましたし,スチーム機能の登場により設置方法も従来と同じ様には考えられなくなりました。

住宅はそのご家族のライフスタイルや価値観を反映した世の中のひとつだけの一ものとすべきですから『家電製品の扱いは,こうするべきだ!』 というどなたにも当てはまる共通の結論はありません。
ですから,家の計画の中で,どんな家電品をどう使い,どう置くのか,将来の買い替え等どう想定するのか・・といったテーマを是非検討項目の中の大きな要素として加えて頂ければと思います。

著者情報

小林 眞人小林 眞人

小林 眞人 こばやし まひと

株式会社 小林真人建築アトリエ

『バランス感』と『素材感』を大切にした建築を心がけています。 全体とディテール、都市との関係、実用と芸術・・・ シチュエーションに応じて取るべきバランス点を見極めたいという思いです。

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