合板・接着剤を使わない家づくりの実践 @滝川淳+標由理
奥さまが新築の家はにおいが苦手とお話があり、重くはないけれどシックハウスの傾向があることがわかりました。そこで、可能な限り接着剤を使わない家づくりを実践しました。
接着剤を使わない家とは、現場で接着剤を極力使わないことはもとより、接着剤を使った材料・建材を使わないことも必要です。そう、合板を使わないのです。
シックハウス対策をした合板、☆☆☆☆(フォースター)の合板は大丈夫と言われていますが、国の基準値を下回っているだけで、接着剤は使ってあることには変わりないので、
「合板を使わない」で家づくりをスタートしました。
まず設計の考え方が変わります。柱・梁は集成材はなし、無垢材を使います。
耐震壁は合板でなく、昔ながらの筋交いで確保。屋根の下地も合板でなく、昔ながらの野地板。内装はクロスなし、漆喰と左官壁。床・壁の下地には荒板を使います。
合板を使わない家づくりとは、昔ながらの家づくりに戻ることなんですね。
杉の荒板の床下地。掘りごたつ用の穴が見えています。
床の場合、通常は3×6版の12mm合板や剛床の場合は24mm、28mmの合板を使うと
大引、根太が省略できて、現場作業も楽だったりしますが、使いません。
外壁の下地荒板。この上にモルタル下地を作ります。
モルタル下地はラスカットという合板の上にモルタルが乗りやすい下地板を使うことが一般的ですが、これも使いません。
筋交いで耐力壁を作ります。構造用合板の方が、強度が強い壁ができるので、家の中の壁長さを少なくすることができますが、筋交いだけで作ろうとすると、長さをしっかり確保することになり、窓や開口部が少なくなってしまいます。
屋根下には防水シートの下に合板を貼ることが一般的ですが、これも使いません。杉の野地板です。18センチ程度の幅なので、手間がかかるのと、合板に比べると、反ったり割れたりすることが多いので、クセを見て使う場所を考えていただく必要もあります。
部屋につくドアや家具の扉といった部分にも合板を使わず、無垢板をはぎ合わせた扉を作ってもらいました。おかげで家じゅう木の香りが満ち溢れています。扉は面積が大きいので、気を使っている雰囲気がよく出ています。
一番悩ましかったのが、家具の扉。たまたま相談した会社が、無垢板を横方向にはぎ合せで作った実績ありますよ、とのことだったので採用しましたが、無垢材なので出来上がった後に反ったりしないか心配ではあります。こればかりは時間をかけてフォローするしかありません。
どうしても慣れていないことをやる場合はコストが高くなる傾向があります。こういった手間を面倒くさがらず、一緒になって作ってくれる工務店を探すことも重要ですね。合板を使わない家づくりとは、ひとつひとつ手間をかけて家づくりをすることなのかもしれません。
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「江戸Styleの家」オープンハウスのお知らせ 2024 年11月30日(土) @小泉拓也+栗原守
「江戸Styleの家」オープンハウスを11月30日(土)に開催します。2005年7月に竣工した自邸兼モデルハウスです。約19年が経過していますので、無垢の木などの自然素材が時間の経過とともに美しく変化(経年美化)している様子を確認することもできます。自然素材の小振りな住まい、あたたかく気持ちのよい和モダンな住まいの雰囲気をご自身の目と心で体感してください。 *「江戸Styleの家」はエコの取り組みでグッドデザイン賞を受賞しました。 *2021年12月「渡辺篤史の建物探訪」、「突撃!隣...