不動産広告や資料のみかた その2 @小林眞人

事例:2

さて、次の事例です。

事例1でご説明した内容を含めて まずはご自分で事例2をよ〜くご覧になってみてください。

 

事例1で欠けている情報としてお話した防火指定高度地区はしっかりと入っていますね。

この敷地のひとつの特徴は私道にも持ち分があり、それとは別にセットバックが必要だという事です。

ですから建築を建てる上での対象となる敷地面積は 全体ー私道持ち分ーセットバック分 ということになります。

そして、もうひとつ大切な特徴はもともと1つの土地だったものをそのままか 2つに分割して売るか

二通りの選択肢を用意しているという点です。

元々1軒のお宅だったのをそのままだと価格が高くなり、売れづらいと不動産屋さんが判断し

分割して売ろうとする事はよくあることですが、この土地の場合は早いもの勝ちでその分割線も

ご相談に乗りましょうという事を広告の段階で謳っている訳です。

そこでもし2つに別けた場合をみると  Aは西・南に道路がある角地・Bは南道路に面する土地 という事になります。

広告では容積率が200%と表記されていますが 事例1でご説明した様に、

Aは4.2✕0.4✕100=168%  Bは4✕0.4✕100=160% となり

建てられるヴォリューム(容積の上限)が変わってしまいます。

もちろん分割せずにひとつの敷地のままのときも168%というのはお判り頂けると思います。

※ちなみにAの様に2つ以上の道路に接する場合は太い方の道路で考えます

※また0.4という係数は住居系の地域以外では0.6となります

さらに、意外に気づきにくく落とし穴になるのがインフラの問題で、計画コストに大きく影響してしまいます。

広告には 設備:都市ガス・上水道・下水道・電気  とあり

もともと1軒のお宅が建っていたので  水道・電気・ガス・下水 があるのは当然と思う訳ですが

それはそれぞれ1であって、土地をAB2つに分割すると、それらがどちらかにはあり

どちらかには無いという事に意外に認識できないのが現実です。

もしもすべてがAの方にあったとすると、Bはすべての引き込み・接続工事が必要になり、

本管の場所や深さによって工事費は大きく変わりますが

少なくとも6〜70万から150万位はかかる事になりますから 計画のコストに最初から含めておかないと

いけません。

事例:3

昨年から土地探しをお手伝いしている物件が2件あるのですが

参考までに昨年末、出た情報を私がざっくりとした評価としてとりまとめたときの

一覧表を添付しますので参考になさってみてください

豊島・文京のサムネイル

また、もうひとつは、敷地評価をざっくりとしたボリュームをあたったときの資料を添付させて頂きますのでこちらも参考になさってください

 

 

中延6-11-20のコピーのサムネイル

 

今回ブログの中でのご説明は 駆け足の感じでだったと思います

本来は関連する法規や建築の事を同時にご説明したり、ざっくりとしたボリュームを出したりしながら

具体的に土地探しをしますと もっと具体的なイメージが湧きますし、ご自分たちのこだわりどころ

も浮き上がってきます。

あくまでも今回の記事はそのとっかかりとして活かせて頂ければ幸いです。

著者情報

小林 眞人小林 眞人

小林 眞人 こばやし まひと

株式会社 小林真人建築アトリエ

『バランス感』と『素材感』を大切にした建築を心がけています。 全体とディテール、都市との関係、実用と芸術・・・ シチュエーションに応じて取るべきバランス点を見極めたいという思いです。

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