変形地でも快適に暮らす_細長変形地の二世帯コートハウスを図面で解説2 @石井正博+近藤民子

今週の “リレーブログ” を担当しています設計事務所アーキプレイスの石井正博+近藤民子です。

前回は、都心の住宅密集地に建つ細長い変形敷地という条件をどのように読み解き、三つの方針を立てたのかについてお話ししました。

今回はその方針を、具体的な「配置」「1階のプラン」「断面構成」にどのように反映させたのかをご紹介します。

三方向を建物に囲まれた敷地において、外に向かって開くのではなく、内に豊かさをつくるという発想。
北側道路との関係を整理しながら、光・風・プライバシーを同時に満たすために導き出した答えが、コートハウスという構成でした。

まずは敷地全体の配置計画から、その考え方を紐解いていきます。

敷地は、間口約5.3m、奥行き約19mの細長い変形地です。
途中で一度くびれ、最小幅は約4.3mまで狭くなり、さらにその先で敷地が東側へ約45cmずれながら再び広がるという、単純な矩形ではない独特の形状をしています。

建物は、この敷地形状に素直に沿うように計画し、限られた幅を最大限に活かしながら、奥行き方向いっぱいまで使う構成としました。

北側の道路に面して1台分のガレージを設け、その奥に親世帯・子世帯それぞれの玄関を並列に配置しています。

さらに、南西側の奥にある空地に向けてテラスと庭を設け、周囲の建物に囲まれた環境の中でも、外部とゆるやかにつながる居場所を確保しています。

1階平面図です。

叔母様と猫が暮らす住まいは、玄関を入るとすぐにダイニングキッチンが広がる、コンパクトで分かりやすい構成としています。そこから廊下とテラスを介して敷地の最奥部へとつながり、落ち着いた位置に寝室と水廻りを配置しました。

寝室と水廻りはに面しており、周囲を建物に囲まれた敷地条件の中でも、やわらかな光を取り込める明るい空間となっています。寝室からは直接へ出ることができ、外との距離が近い暮らしを実現しました。庭の一角は小さな畑として使われ、建て替え前からそこに植わっていた茗荷も、そのまま大切に残しています。

一方、建て主世帯の1階部分は、玄関と2・3階へとつながる階段のみを配置し、生活空間は上階へと持ち上げる構成としています。

左の写真は、北側道路から見た夜景です。
手前にガレージ、その奥に親世帯・子世帯それぞれの玄関が並ぶ構成が読み取れます。

右の写真は、建て主世帯の玄関内部です。
左手には造作の下足収納を設け、空間にすっきりと納まるよう計画しました。階段は、箱型の踏板部分とスケルトン部分を組み合わせたデザインとし、箱部分は収納として活用しています。スケルトン階段の高い位置にはコート掛け用のバーを設け、限られたスペースを立体的に使えるよう工夫しました。

上階へと視線が抜ける吹き抜けの広がりがあり、2階の窓からの採光によって、コンパクトながらも明るく開放感のある玄関となっています。

2階平面図をご紹介する前に、本計画の断面構成について触れておきます。

計画地は、高さ10mまでは北側斜線の影響を受けない地域ですが、前面道路が4mと狭いため、道路斜線の制限を慎重に検討する必要がありました。さらに、軒高が9mを超えると構造計算の条件が大きく変わることから、軒高は9mを超えない範囲で計画しています。

その中で空間の質を確保するため、ガレージの天井高は可能な限り抑え、叔母様世帯の居室は天井高2.4mを確保しました。この調整により生まれた約35cmのレベル差が、2階床の段差として断面計画に反映されています。

構成としては、北側を3階建てとし、外部空間を挟んで南側を2階建てとする断面構成としました。南側をあえて2階建てに抑えたのは、1階テラスへの採光を確保するためです。

高さ制限を単なる制約として受け止めるのではなく、断面的な操作によって光と空間の広がりを生み出すことを目指しました。

次回(3回目)は、建て主世帯のメインフロアとなる2階のプランについて、レベル差や吹き抜けとの関係、光の取り込み方を交えながら詳しくご紹介していきます。

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石井 正博 + 近藤 民子石井 正博 + 近藤 民子

石井 正博 + 近藤 民子 いしいまさひろ こんどうたみこ

設計事務所アーキプレイス

「敷地とライフスタイルを活かした家づくり」をテーマに、暮らしやすさ(温熱環境・家事動線・収納計画など)、デザイン、コストのバランスのとれた質の高い家づくりを建て主の方と一緒にめざします。

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