変形地でも快適に暮らす_細長変形地の二世帯コートハウスを図面で解説1 @石井正博+近藤民子
今週の “リレーブログ” を担当します、設計事務所アーキプレイスの石井正博+近藤民子です。
家づくりを考えるとき、まず立ちはだかるのが「敷地条件」です。
特に都内では、間口が狭く奥行きの深い敷地や、不整形な変形地など、一見すると難題に思える土地も少なくありません。限られた条件の中で、光や風、プライバシー、そして家族それぞれの暮らしをどう両立させるか――そこに設計の醍醐味があります。
今回の建築家31会リレーブログでは、都内の細長い変形敷地に建つ木造3階建ての二世帯住宅「細長変形地の二世帯コートハウス」を、全5回にわたって詳しくご紹介します。
敷地条件の読み解きから設計主旨、具体的なプランニング、断面構成、構造計画、そして完成写真まで、図面や写真を交えながら段階的に解説していきます。
制約の多い敷地が、どのようにして伸びやかな住空間へと変わっていったのか。
二世帯という関係性を、どのような空間構成で包み込んだのか。
読み進めていただく中で、都市住宅の可能性や、難しい敷地を前向きに活かすヒントを感じていただければ幸いです。
計画地は、都心の住宅が建て込んだエリアに位置しています。
前面道路は北側4m。敷地は間口が限られ、奥へと細長く伸びる変形地で、三方向を隣接建物に囲まれた、いわば“都市のすき間”のような環境です。
採光や通風、プライバシーの確保など、住まいとして求められる基本性能をどのように満たすかが大きなテーマとなる条件でした。
■敷地条件
建築法規:第一種住居地域
第3種高度地区 準防火地域
建蔽率60% 容積率160%
前面道路:4m(二項道路、北側)
・間口(最小4.3m)奥行19mの東西に細長い変形敷地
・三方向を囲まれているが、南西方向に抜けがある
・屋上からは、北〜東には公園の緑が楽しめる
■主な要望
・猫と暮らす叔母様との二世帯住宅
・日当り良く、風通し良く、解放感のある家
・家族が自然に集まるリビング
・演奏が楽しめる家(ピアノ&サックス)
・家族が集まり、気配を感じる、楽しい場所
・1台分のビルトインガレー
建て替え前の住まいは、変形敷地の“最小幅”に合わせた長方形の建物を北側道路側に寄せて建て、南側に庭を確保するオーソドックスな配置でした。
一見すると合理的な計画ですが、実際の環境は必ずしも恵まれたものではありませんでした。南側の庭の先には隣地の4階建てアパートが建ち、上階からの視線が常に気になる状況。さらに建物の影が落ちる時間も長く、庭は十分な光を享受できているとは言い難い状態でした。
「南に庭を取れば良い環境になる」とは限らない――。
都市の住宅密集地では、セオリー通りの配置が必ずしも快適さにつながらないことがあります。
そこで今回の計画では、敷地の特性を改めて丁寧に読み直すことから設計をスタートし、住宅全体の方向性を定めるために三つの方針を立てました。
【計画の3つの方針】
1.配置計画/コートハウス
2.光と風と暮らす
3.気配を感じられる、二世帯の程よい距離感
1.配置計画/コートハウス
建蔽率いっぱいを使い、細長い変形地の中にコートハウス的に外部空間を組み入れ、周囲の視線から内部を守りながら、居住環境を高めた計画です
建て替え計画では、3方を住宅で囲まれている密集地の中で、南西方向にある唯一 ” 抜け” を生かせる位置に外部空間(テラスやデッキテラス)を設け、木造3階建てのコートハウスとして、周囲の視線から内部を守りながら居住環境を高めた計画としました。
右の模型写真のように、外部空間は隣地の空き地と繋がって広がりのある環境の良い場所だと分かります。
2.光と風と暮らす
1階、2階、屋上に外部空間のテラスを設けて、都心の住宅密集地でありながら
自然の光や風を感じながら暮せる住まいです。
3.気配を感じられる、二世帯の程よい距離感
それぞれに玄関を設けた各世帯は、独立しつつも、建物中央に組み込んだ外部空間、1階のテラスと2階のデッキテラスを通して気配が伝わり、程よい距離感で暮らして行けます。
次回は、三つの方針をどのように具体的な配置計画へと落とし込んだのか、近隣との関係性、1階の採光、断面構成を交えながら、詳細をご紹介していきます。
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