二世帯住宅を考える @小林眞人

(1)二世代住宅とは

二世代住宅が増えています。

新築の場合もありますし、改築・リフォームの場合もあります。

 

少子高齢化・土地価格の高騰・経済的負担の軽減・優遇税制

コロナ禍以降、住まう場所が仕事に左右されない方が増えたこと

等々 時代状況を受けての必然的な選択肢として 二世代住宅を考えるケースが増えているのです。

 

私自身も30年前に親との二世代住宅を建て、両親とも亡くなった現在は娘夫婦との二世代住宅となっています。

 

一緒に暮らす といっても暮らし方は様々です。

何を共有し、何を助け合い、何を分離するか という家族ごとの形態が

家族の数だけありうるからです。

わかりやすく住居形式で整理すると

 

完全同居(キッチンやお風呂などは1つ)

完全分離(2軒の家が隣り合ったりつみかさなったりして一軒の家になっている)

が対極になりますが

その間にも、共用・共有・分離するものの違いにより様々な形式があります。

 

たとえば、玄関は1つで玄関ホールから2つに分かれるとか

同居なのだが、その中にキッチンは2つあるとか・・・・

 

 

(2)二世代住宅の難しさ

 

何を共有し、何を助け合い、何を分離するか という家族ごとの形態が

家族の数だけありうる と申し上げました。

ですから2世帯住宅を考えるときには この関係性 をどうするのか?

自分の家族はどうなのか?を考え、整理し、定める事が大きなテーマなのです。

 

しかし、これはなかなかの難作業です

 

そもそも夫婦間でも考えが一致するなんて事がありません

それが親子二組あって さらに子供たちがいる・・・

 

私は住宅を考えるとき色々なテーマについてご家族とブレインストーミングを

何度か行いそれを通じて 価値観やものごとのプライオリティーを整理し

同時に家族全員の共通認識を得る様にしています。

子供というテーマの場合だと、そもそもご夫婦にとっての子供の位置づけ・どう育って欲しいと思っているか・子供との関係性をどうして行きたいか・それは年齢によって考え方が変わるだろうか・等々

そんな風に色々なテーマについて話題を振って会話をするのです

それを通じて人生観や価値観が浮かび上がってきます

こうやって深いテーマについて話し合っていくと ご夫婦の間で「えっ、あなたってこんな考え方をするの!!」というような場面が多々出てくる場合があります

結果、家造りをきっかけに離婚! という事も何度かありましたし、回りでも良く聞く話です。

 

もちろんそのあたりはストレスなく共有化できる というご家族もいますが

なかなか一致しないケースの方が圧倒的に多いのが実態です

従って 完全同居ではなく完全分離型、あるいは分離型で一部を共有
といった方向で考える方が一般的には話がまとまりやすいでしょう。

また、夫婦どちらの親なのか? というのはとても重要な点なのです。

ご主人の両親なのか 奥さまの両親なのか?
一般的には奥さまの両親との場合、共有要素が強くなっても成立します。

 

ただその場合でも必ず、いざとなったら顔をあわせなくとも済む
という設えあるいは準備をしておくことを必須と考えて頂きたいと思います。

たとえば奥様のお母様との同居で基本的に食事は一緒にする場合でも

あ母様のスペースにミニキッチンなりお茶を沸かせるスペースを設ける

あるいは設けられる様に配管だけは床下までしておくといった配慮です。

 

(3)建築家と二世帯住宅を考える ことの勧め

 

私としては過去様々な文章や取材時に 色々な選択肢の中で建築家とすすめる

ことのメリットはこんな事がありますよ という言い方にとどめ

ストレートに 是非 建築家とやるべきだ 言ったことがないのですが(笑)

 

多くの二世代住宅のお手伝いをしてきての経験・実感として

二世帯住宅は絶対的に 『 経験ある建築家とすすめた方が良い 』

と声を大にして申し上げたいと思います。

 

二世代住宅の 意見をまとめる難しさをお話しましたが

建築家が何を考えまとめるかのガイドの役割を致します。

第三者としての建築家を挟むことで・建築家が間に入りフィルターとなることで

親子間 夫婦間 感情的な決裂を招かず話を進めることができます。

一定の配慮の必要性 といったことをお話して参りましたが

実際には文章に整理しきれないほど多くのポイント・方法・ノウハウが存在し

そのご家族の事情に応じて考えることができます。

やるやらないは別にして まずは建築家と気軽に会って相談をしてみてください。

著者情報

小林 眞人小林 眞人

小林 眞人 こばやし まひと

株式会社 小林真人建築アトリエ

『バランス感』と『素材感』を大切にした建築を心がけています。 全体とディテール、都市との関係、実用と芸術・・・ シチュエーションに応じて取るべきバランス点を見極めたいという思いです。

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