家事ラク動線と家族の暮らしを支える住まい　＠石井正博＋近藤民子

8月5日に出版された、建築家31会の新刊『間取りの模範解答：心地よい住まいをつくる建築家の視点』に、設計事務所アーキプレイスの設計監理した住宅『くるりのある家』が掲載されています。
今回は、誌面では伝えきれなかった完成写真や図面を交えて、この住まいの魅力を詳しくご紹介します。

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1. 家事ラク動線の要はキッチン

子育て世帯の住まいづくりで大切なのは「家事動線のコンパクトさ」。
この住まいでは、家族が最も長く過ごすキッチンを間取りの中心付近に配置し、その背面に水廻り（洗面室・浴室・洗濯機置き場）とサンルームをまとめました。

炊事と洗濯の動線が短く、玄関や階段へのアクセスもスムーズ。効率の良さと居心地の良さを両立した配置です。

2. 水廻りの工夫で家事効率をアップ

共働きの暮らしを支えるために、水廻りにもさまざまな工夫を取り入れています。

• サンルーム
  　日当たりの良い場所に設けた室内干し空間。花粉症や土埃の多い敷地条件でも安心して洗濯ができます。

• 家族用クローゼット
  　サンルームからすぐ近くに配置し、「洗う → 干す → しまう」の流れを最短距離で完結。

• 吹き抜けの坪庭に面した浴室
  　緑を眺めながらリラックス入浴が楽しめる開放的な空間。

• 洗面収納
  　タオルや家族の下着を収納できる棚を設置し、脱衣から収納までスムーズ。

家事の効率がぐっと高まり、忙しい日常を支えてくれます。

3. 子どもの成長に合わせて変化する子供室

2013年の設計当初は、長女が生まれたばかりだったため、2階には個室の子ども部屋をつくらず、廊下と一体の大きなホールを用意。幼い頃は遊び場として活用し、将来を見据えて仕切り用レールや左右対称の窓を計画していました。
その後、次女も生まれ、2023年に「子ども部屋を」とのご相談がありました。廊下との境は建具で仕切りつつ、部屋同士は家具でゆるやかに分ける提案をし、最終的にFIXと引き戸を組み合わせた4枚建具を設置しました。

[左]天井に入れておいた仕切り用レール
[右]FIXと引き戸を組み合わせた4枚建具

4. 本に囲まれた書斎と多目的バルコニー

2階には、読書家の奥様と多趣味なご主人が使う書斎があります。

• 壁面いっぱいに設けた長さ5.7mの本棚

• 吹き抜けに面した室内窓を開ければ、家族の気配や外の景色を感じられる設計

• 家族のスペースから少し離れているため、リモートワークにも最適

さらに、外に広がるバルコニーは、洗濯物干しの場でありつつ、ご主人の工作スペースとしても活用。暮らしに合わせて多様な使い方が可能です。

5. 吹き抜けを中心に回遊できる住まい

そして、この住まいを特徴づけるのが「リビングの吹き抜けを中心に、ぐるぐる回れる動線」。
上下階をつなぎ、家族のつながりを感じながらも、それぞれの居場所が確保された間取りです。

まとめ

効率的な家事動線、水廻りの工夫、成長に応じて変化する子供室、本に囲まれた書斎と多目的なバルコニー、そして吹き抜けを回遊する（駆け回れる）動線。
この住宅『くるりのある家』には、家族の暮らしを快適にし、時間と心にゆとりをもたらす工夫が詰まっています。

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