実例から よろいばりの家 ~なぜ高い吹抜~ @菰田真志+菰田晶

今週のバトログを担当させてもらっています菰田建築設計事務所の菰田真志(こもだまさし)です。今回で二回目になります。

われわれが設計した建物がなぜこうなっているのか?という話の二回目として取り上げるのは「よろいばりの家」です。

この家の特徴は2つ。
1つ目は スキップフロア ということ。
2つ目は 二階の大きな吹抜 です。

1つ目の特徴のスキップフロアというのは、ご存知の方も多いと思いますが、例えば2階建の家は普通は床の高さが2種類でそれを階段でつなぎますが、スキップフロアの場合には2種類以上の床の高さが家の中にあり、それを繋ぐ形になります。1階-1.5階-2階という感じでつながるイメージでしょうか。(もちろんもっと多くの床のレベルがあってもいいのですが。)
この家では1-1.5-2-2.5-小屋裏という構成になっています。

では一階はと言うと、駐車場スペースです。

前の道から見る
駐車場部分は法的には一階になります。敷地の段差を生かしてスキップフロアにしています。玄関が1.5階レベルにありますが、そのぶんアプローチをかなり緩やかな階段にしています。玄関を引き込むことでプライバシーも保てます。

この敷地はもともと前面道路から1.2m程度敷地が上がっていたので、敷地の平らな部分に家を建てると、玄関が道路から高い位置に来ます。低い位置に建てようとすると道路面にあわせて掘らないといけなくなるので、緩やかな階段で玄関までアプローチして、家に入るという構成にしました。駐車場部分だけ少し掘って平らな部分を確保し跳ね出した家の下に車を置くスペースを取っています。

アプローチを上がって入る玄関は、法的には1.5階レベルです。玄関を入って1.5階レベルには個室が、玄関横の階段をのぼると折返しの階段の踊り場が2階レベルです。ここは水回りです。

玄関を見る
玄関レベルは1.5階(もともとの敷地レベル)。このレベルには個室中心です。玄関土間の横に大きな階段一段目を設けていますが、そこが土間からの高さが靴脱のための椅子の高さになっています。折返し階段の踊り場部分が法的には2階レベルで、トイレ・洗面・浴室があります。

水回り
シンプルな水廻り。白と濃い茶色のコントラストで構成しています。窓を高いところにつけることで水回りのプライバシーと天井を照らす採光の役目を果たしています。

折り返して2.5階レベルが高い吹き抜けになっているLDKです。LDKの一部分に小屋裏収納があります。

階段からの見返し
2階レベルから見返すと玄関とリビングの中間に水回りがあることがわかります。玄関奥に見えるのは玄関収納です。

北側の窓
この窓だけが目線についています。現状で北側が隣地の大きな庭に面して引きがあり見られることがないので目線に窓をつけました。見えている階段はロフトへ上がる階段です。

ダイニングからキッチン方向を見る
一体になった吹抜の空間。左手の階段を登った先にはバルコニーがあります。正面と左手上方の窓は後術します。

 

この家がスキップフロアになっている理由は、もともとの地盤レベルがそうなっていたからそれを利用したということです。ちょっと掘り込んで駐車場にしていますが、ほぼ地形を利用したという形になっています。もっと彫り込むことも考えましたが、結局半地下にすることで掘削や防水などのお金がかかるという事もあり、スキップフロアで対応することにしました。(※スキップフロアもただ建てるのより構造が複雑になるので金額増の方向になります。どちらが安いかは判断が難しいところです。)

2つ目は二階の大きな吹抜に関しては、南側の隣地からの影響です。
南側の隣地には二世帯住宅が建っています。敷地の法規的には低層建物であれば北側に斜線制限がかからないので、近接した隣家の影響をうけます。しかも敷地が東西に長い敷地なので、北側に家を寄せて南側に空間を作ることが出来ませんでした。

正面から見る
東西に長い敷地で間口が狭いので、建物も長くなります。いっぱいに北に寄せても南に大きな空間はとりにくい敷地です。南側の隣家の高さより上から光を入れことを考えました。

そこで、LDKに大きな吹き抜けを作り隣家の上から光を取ろうと「背伸び」した結果がこの空間を生みました。

ロフトから見下ろす
この家で一番高いロフトから見下ろしても正面の窓から見えるのは道を挟んだ家の屋根です。LDKの床レベルでは大きな開口からは空しか見えません。周囲からの視線を気にしないで過ごせます。

細長いけれど高い天井高がきもちよくつながり、光を取り入れるための大きな窓が空いていますが、その窓は周囲からの視線は完全に切っています。
周囲からはカーテンなどが無くても全く中が見られないように気をつけた窓配置が家の中の大空間の開放感を増すことに一役かっています。

結局のところ2つの特徴ともに、敷地や周辺の環境から来ています。
第一回目の「太田窪の家」でも同じように敷地の状況が形を決める大きな理由になっています。
建主さんの希望を優先しているなかで、室内環境を大切にしたいという気持ちが、その家の特徴を敷地環境を見据えたものにしたのかもしれません。

(有)菰田建築設計事務所
HP : http://www.archi-komo.co.jp

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2018年11月に、建築家31会 展示・トークショー・相談会 vol.29 @新宿パークタワーを開催します。

  2018年秋(11月)に、建築家31会 展示・トークショー・相談会 vol.26 at新宿パークタワーを開催します。 日時:2018年11月9日(金)~11日(日) 10:00〜18:00(9日は12:00〜) 場所:新宿パークタワー1F・ギャラリー3(入場無料)>>Map 主催:建築家31会 建築家31会の展示・トークショー・相談会は、全国で活動する建築家31人が集まり、それぞれの住宅事例を展示する模型展です。当日は会場内に建築家もおりますので、建築家との家づくりに興味のある方、設計事例を見てみたい方、建築家と話してみたい方など、どうぞお気軽にお越しください。 『家の話をしよう。』と題した家づくりトークショー を開催し、横浜赤レンガ倉庫で好評だったアイデアい住宅のプレゼンテーションと展示もする予定です。 >>期間中の建築家スケジュール 家づくりトークショー 2018年11月の建築家31会「展示・トークショー・相談会 vol.29@新宿パークタワー」で、建築家 × 協賛会社 による、実作品 × 納入商品 の解説トークショーを全日開催します。 11月10日(土) 12:30〜 小林真人 × 東京工営 「トラブルのないフローリング材の使い方」 フローリング材は使い方次第でより良く見せることも、逆にトラブルを招くこともあります。そんなポイントを実例によってお話します。 13:30〜 田邊恵一 × ディーエルディー 「炎を住まいで楽しむ」 私たちの文明に「炎」は欠かせませんでした。そして現代では生活インフラに不可欠な要素です。ただ「炎」の恩恵を受け、「炎を楽しむ文化」がもっと生活と密着しても良いと思います。このトークショーでは、いろいろな「炎」の楽しみ方や、接し方などいくつかの事例を通してお話しします。 14:30〜 古川達也 × エイチ・ジー・サービス 「地盤から考える家づくり」 住まいの安心・安全にとても関係する建物の足元、大事な地盤に着目します。土地が違えば地質が違い、建物の重さや形が違えば、足元に求める地盤のあり方も変わります。意外にも地盤づくりは、全ての家づくりにおいてオーダーメイド。弱い地盤には「地盤補強」も必要です。家づくりの前に、是非知っておきたい「地盤調査」「地盤補強」についてお話しします。 15:30〜 前田敦 × マードレ 「オーダーだからこそ実現するオンリーワンの暮らし」 自分らしく生きる! 家づくりには、そんなライフスタイルに合わせたキメの細かい対応と創造力が求められています。建築家とキッチンクリエーターとのコラボレーションにより、オーダーだからこそ実現できるオンリーワンの快適空間の事例を製作過程から裏話を交えて紹介します。 16:30〜 前田敦 × シリカライム 「内装材(壁・天井)でこんなに変わる家づくり」 あなたは内装材を決める際に何で決めていますか? 営業マンの持ってきたビニールクロスのカタログだけで決めていませんか?環境、素材、色、パターン、健康、機能といったいろいろな面から内装材について考え、世界で自分だけの内装空間を作り上げる。そんなお話が出来ればと思います。 11月11日(日) 12:30〜 髙野洋平 × イゼナ 「温熱環境が整った家づくり」 床下に設置した水の袋に蓄熱する空調システムをご紹介します。特別な設備を必要とせず、床暖房と同じ程度の導入費で家全体の温熱環境を整えるイゼナのアクアレイヤーです。実用例と効果、進行中の計画などをご紹介します。 13:30〜 筒井紀博 × 神谷コーポレーション 「知らなきゃ損する扉のあり方」 毎日の生活の中で、必ず一度は開け閉めする扉。あまり意識したことがないかもしれませんが、扉はとても奥が深いんです。既製品の扉からオーダーの扉まで、さまざまな機能、デザイン、可能性・・・。 これらを実例を交えながらお話いたします。 14:30〜 北島俊嗣 × 遠藤祥悟土地家屋調査士事務所 「家が建つ土地の形と広さ面積を示す敷地測量図と土地家屋調査士の力量」 注文住宅の設計は「敷地測量図」が無いと始められません。土地の形状や高低差、面積と道路との関係を測って敷地測量図を作って下さるのは「土地家屋調査士」さんです。土地家屋調査士さんの力量によって家づくりや建物計画の良し悪しが定まるときもあります。助けられた事例を紹介して力量のある方のご紹介をさせていただきます。 15:30〜 岡部克哉 × グラフィソフトジャパン 「施主と建築家を繋ぐコミュニケーションツールとしてのCADソフト」 単なる製図道具としてのCADソフトの使い方とCGを中心としたコミュニケーションの道具としてのCADソフト活用のご紹介 16:30〜 菰田真志 × NE-1 「家づくりのなかのインテリア」 いえの雰囲気を決める要素は建築のかたち以外にもいろいろあります。同じかたちでも仕上げによって気持ちよさだけではなく使い勝手も変わってきます。カーテンや家具、ラグなど可変なインテリアの使いかたで雰囲気を作るのもいえづくりの楽しさです。そんな話を実例を見ながら話そうと思います。 お問い合わせ先:info@kenchikuka31.net 建築家31会事務局 東京都港区南青山2-2-15 WinAoyamaビル–UCF917 Tel : 03-6869-1961 建築家31会では、お客様の家づくりのお手伝いをさせていただいています。 設計事務所というと、
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