家事動線と収納と個々のスペースを優先した住宅@七島幸之+佐野友美
8月5日に出版された、建築家31会のメンバーによる書籍
『間取りの模範解答:心地よい住まいをつくる建築家の視点』
に掲載された住宅(アトリエハコ設計監理の物件)を少しご紹介したいと思います。
ご両親がメインで二世帯住宅を建てたことがある方の新たな住宅(単世帯)計画。
これまで住んでいた家で感じたことを新たな住宅で活かしたい!というのがメインテーマ。
夫婦共働きでとてもお忙しいため、家事動線と収納を優先させた住宅です。
どのお宅でも建蔽率・容積率の制限のあるなか、そして必要な部屋数がある中で、
どの部屋を優先してスペースを確保するかという選択が出てきます、、、
家族構成やご家族の家での過ごし方にもよるのですが、
多くは家族で過ごすLDKをメインとしてスペースを確保することが多いです。
このお宅の場合は、子供たちも個々の時間が大切な時期に入ってきたこともあり、
LDKではなく、収納や水回りを充実させました。
また、お母さんが全ての家事を担うのではなく、知らないうちに家族全員が家事をしてしまうような動線づくりを目指しました。
◎これまでの家では、家族みんなが帰宅後にバックやコートなどをLDKに放置しがち、、、
なので、今回の住宅では、玄関からすぐのシューズクローゼットにコートを掛けられるようにしたり、
洗面で手を洗った後、隣のファミリークローゼットに荷物を一時置きできるようにしました。
シナ合板の箱がシューズクローゼット。
お客さんは、玄関から直接LDKへ入りますが(写真は開いていますが引戸で閉めることができます)
家族はこの箱を通って本棚横の扉からLDKへ入ります。
◎これまでの家では、洗濯→洗濯機とは別の階のバルコニーに干す→とりこんでバルコニー前のリビングで畳む(置きっぱなしのことも)→各個室へ、と、洗濯という家事をするのにも行ったり来たりが一苦労、、、
今回は、お風呂→脱衣室(洗濯機)→洗面室→ファミリークロゼット⇄物干し、と繋がるプランにしました。
とりこんだ洗濯物はファミリークローゼットの個々のブースに置くだけ。あとは自分で好きなようにどうぞというスタイルに。
右に脱衣室とお風呂、左にファミリークローゼットと物干しスペース。
幅広の造作洗面化粧台で、混みがちな朝も並んで支度ができるので快適になりました。
家族それぞれのブースがある4畳ほどのファミリークローゼット。
正面奥のドアから物干しスペースに出られます。
◎これまでの家では、キッチンが奥まったところにあったこともあり、お母さんが食事の支度と片付け、、、
今回は誰でも気軽にキッチンに立てるよう、LDKの中心にペニンシュラ型のオープンなキッチンに。
隣に置いたテーブルもオープンで食器などが何かと目に付くため、自然と家族みんなが片付けるようになったそうです。
LDKのスペースを補うような、木板で囲まれたリビングと一続きのテラス。
リビングと同じ素材なのでひとつながりで視覚的に広く見えます。
家事は1階で完結。吹き抜け周りの階段で2階へ上がります。
吹抜とその上部にある小屋裏収納を囲うように、個室と書斎が並んでいます。
ここでは家事を忘れ、それぞれが好きに過ごせる場所になっています。
− 最新イベント情報 −
2025年9月20日(土)「自然素材の平屋の木の家」完成現場見学会のお知らせ @小泉拓也+栗原守
中野区の「自然素材の平屋の木の家」は平屋の約33坪の住まいです。建築主さまのご厚意により2025年9/20(土)完成現場見学会を開催させていただくことになりました。リビングダイニングとつながる大きなデッキテラスで内と外の暮らしを楽しむことができる平屋の木の家です。 無垢の木や左官の薩摩中霧島壁、沖縄の月桃紙、天井のくりこま杉などの自然素材でできた温かく気持ちのよい空間の雰囲気をご自身の目と心で体感してください。 家づくりを検討中の方のご参加をお待ちしています。時間指定で3組限定の見学...