『間取りの模範解答』おもてなし好き奥さま公認、玄関直通のダイニングルームのある家@滝川淳+標由理

建築家31会の新刊『間取りの模範解答』p108に、コネクトの設計した個人住宅「ロフトとつながる吹抜けが4つある方形の平屋」の間取りが掲載されています。誌面では伝えきれなかった解説や完成写真などを加えて、この住まいの魅力をご紹介します。

家づくりを始める時に、LDKをなるべく広くして・・・と、リビング・ダイニング・キッチンはひとセットの大きな部屋として考えることが多くなりました。家の中で最大の部屋が、ドンッとあることで伸びやかさを感じるからでしょう。

ただ、このご家族は来客をもてなすのはどこが最適なのか、を重要視して考えられたのです。リビングは家族がのんびりする場所。来客にはお茶を出してもてなしたいので、リビングよりはダイニングに来てもらいたい!となりました。そこで大胆にもLとDKを分けて、玄関の左右にそれぞれ配置したのです。

ダイニングを分けたのは、もう一つ隠れた理由がありました。離れて暮らす祖母の介護が始まった場合、祖母をこの家に呼び寄せる可能性があり、その時はテーブルをリビングに移動して、ダイニングを介護部屋にすることが想定されています。介護は独立したスペースかつ目の行き届く場所として、我々もダイニングを改造することを常々おすすめしています。

もう一つ、本では伝えられなかった工夫があります。普段の生活で離れているダイニングとリビングのつながりを確保するために、玄関両脇の引き戸は大きな引き込み戸としてあり、普段は玄関を介して空気がつながっています。玄関土間にはスノコが敷かれ、上足のままLDを行き来も可能。玄関でありながら、LDの一部のように感じられる工夫が隠されています。

ダイニングとリビングとでは、座る高さが異なるため、あまりに近接しているとソファからダイニングテーブル下が丸見えになることもあります。コンパクトな家ほど、この事例のように2つのスペースを分けて配置する方が落ち着いた家になるとも言えるでしょう。

 

※合わせてご覧ください。→ こども部屋を将来有効に活用するための方法

家事のためのスペースづくり

コネクト一級建築士事務所

リビングから玄関を介してみるダイニング。引き戸を完全に開けた状態。

ダイニングからリビング方向を見たところ。引き戸の幅が広いので、図面で見るよりはリビングが近く、ひとつながりの部屋のように感じられる。

キッチンの様子。右側のカウンターはちょっとしたパソコン作業ができるような家事カウンター。プリンターがすっぽり収まるようなスペースとLAN配線も用意してある。

リビングからキッチンにつながる廊下。勝手口まで一直線につながっている。

著者情報

滝川 淳 + 標 由理滝川 淳 + 標 由理

滝川 淳 + 標 由理 たきかわ あつし

コネクト 一級建築士事務所

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