「家族の中心となるキッチンを」 @磯村一司

最近はキッチンがだんだんと生活の中心に置かれるようになりました。
かつては、台所はお母さんの作業場所として閉じられていて、お母さんは、片付けが終わらないと食後の団欒に加われませんでした。後片付けを手伝ってくれるお父さんも少なかったですからね。
閉じたキッチンは、調理中の匂いや煙、作業場所としての雑然さ、壁や床への汚れと清掃、などのためだったのですが、システムキッチンの普及とともに、オープンキッチンを選ばれる方も多くなりました。
最近では、特に子育て世帯や若いご夫婦にはその傾向が強そうです。

オープンキッチンが多くなってきたのは、キッチン設備の性能がアップして、衛生管理がしやすくなってきたことが大きいと思いますが、お母さんが食事を作っていても、ダイニングやリビングにいる家族とコミュニケーションとりたいという方が多くなったからでもあります。

さらに考えると、食事を作り、食事をする、また、その片付けをするという行為自体が、家族生活の中で大切な意味を持つようになってきているという現れではないかと思います。
まだまだ、キッチン作業はお母さんに任せるのが一般的なことかもしれませんが、オープンキッチンは、家族全員がキッチン作業に参加しやすくなることで、「食」や「家事」を家庭生活や子育て、ひいては社会生活のための一つの装置になってきていると思いませんか。

そんなオープンキッチンなのですが、やはり調理の匂いや油跳ねなどの汚れのリスクはあります。さらにお客さんの目にも触れるようになるわけですから、きれいに片づけておけることがとても大切です。
片付いたキッチンのためには、まずは、皆さんのご家庭でキッチン廻りに何があるのかを確認しておいて、それをどこに収納するのか、見えてもよいとするならどうみせておくかを考えておいた方がよいです。

シンクの廻りだけでも、洗剤、スポンジ、亀の子たわし、台布巾、布巾、タオル、まな板、家庭によってさまざまでしょうが、皆さんのご家庭ではどんなものがあるでしょうか。
食器、調理家電についても、どこで使うか、どこにしまっておくと使いやすいかなど、十分に検討しておくべきです。
電子レンジ、オーブン、炊飯器、トースター、ロースター、珈琲メーカー、パン焼き器、ポット、電気湯沸かし器、など使い方と収納場所を考えておく必要があります。
食後の片付けも、スムーズにささっと片づけたいですね。
簡単に片付かないと、散らかる元ですからね。

こう文字にしてみると大変なようですが、そんなことはありません。
ご家庭のスタイルをちょっと考えてもらって、建築家と相談していただければ、素敵なオープンキッチンができ上がると思います。
ぜひ、家事、料理の楽しめるキッチンを。

著者情報

磯村 一司 + 政本 邦彦磯村 一司 + 政本 邦彦

磯村 一司 + 政本 邦彦 いそむらかずし まさもとくにひこ

株式会社ギルド・デザイン
一級建築士事務所

風や光、素材の扱い方、住宅としての生活のしやすさ、それらをバランスよく、シンプルでさわやかで心地よい、その上で、建主さんの考える一つ先のデザインを提案します。

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