変形地でも快適に暮らす_細長変形地の二世帯コートハウスを図面で解説5 @石井正博+近藤民子

今週の “リレーブログ” を担当しています設計事務所アーキプレイスの石井正博+近藤民子です。

これまで4回にわたり、細長変形敷地の二世帯コートハウスの配置計画、断面構成、そして各階のプランをご紹介してきました。

最終回となる今回は、この住まいを足元から支えている「構造計画」についてお話しします。

大きな開口を持つLDK、デッキテラスを介して分棟のように配置した音楽室、屋上テラスまで立体的につながる空間構成――。これらを実現するためには、単に間取りを工夫するだけでなく、それを可能にする構造的な裏付けが不可欠でした。

本計画では、木造でありながら高い耐震性と自由度を両立できる SE構法 を採用しています。

都市の住宅密集地に建つ3階建て二世帯住宅として、どのような考え方で構造を組み立てたのか。プランとの関係を交えながらご紹介していきます。

3階建てとなる本計画では、構造体としてSE構法を採用しました。

建物の有効間口は約4m。そこに大型RV車が入る駐車スペースを求められ、十分な幅と高さを確保する必要がありました。道路側の1階壁面に耐震壁を設けるのではなく、両側に平角柱(ひらかくばしら)を配置することでピロティ空間を成立させ、天井高2.15mを確保しながら成立させられる点が、SE構法を選択した大きな理由です。

ガレージ部分はピロティ形式とし、両側に120mm×300mmの平角柱をそれぞれ3本ずつ配置する構造としました。これにより、有効間口約3.5mを確保しつつ、耐震等級3を満たす計画としています。

また、中庭に面した開口をできるだけ大きく取るため、中庭周囲には耐震壁を設けない構成としました。構造的な強さを保ちながら、開放的な空間を実現できることも、この構法の大きなメリットです。

軒高は9mを未満とする必要があったため、小屋組の途中にはあえて横架材を組み込み、立体的な剛性を高めています。

構造の考え方としては、まず1階の奥行きいっぱいにわたるフレームを建物全体のベースとし、その上に2階・3階を載せる構成としています。さらに上部は、南側(2階)と北側(3階)をそれぞれ別々の建物として、構造的にも分節したかたちで計算を行いました。

アクソメ図では、細長い敷地形状に沿って連続する1階フレームと、その上に分かれて立ち上がる2階・3階の構造体、そして小屋組内の横架材がどのように組み合わさっているかが読み取れます。

高さ制限の中で立体的な広がりをつくるために、プランと構造を一体で組み立てたことが、この住まいの大きな特徴です。

特殊な形状の敷地において、そのポテンシャルを余すことなく引き出すためには、平面計画だけでなく断面構成まで含めた緻密な検討が欠かせません。加えて、構造的な裏付けや法規制を丁寧に読み解き、それを前向きに活かす発想も求められます。

今回ご紹介した変形敷地の二世帯住宅が、都市の限られた条件の中で住まいを考える際の一つのヒントとなれば幸いです。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

>>設計・工事経過 ブログカテゴリー 細長変形地の二世帯コートハウス

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著者情報

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石井 正博 + 近藤 民子 いしいまさひろ こんどうたみこ

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