「住まいのまわりメモ」@古川達也
例えば街に家を建てるとします。「住まいのまわり」とは、家と街のあいだ。家との繋がりもあり、街との繋がりもある。家との都合、街との都合を調整したり解決したり。きっと様々なケースがあると思いますが、住まいの快適さや楽しさのヒントが結構あるように思います。
【ウッドデッキ】
住まいのまわりに、ウッドデッキ。道や隣地と間合いを生む庭のようであり、縁側のようでもある。屋内と庭の中間的スペースと言えます。洗濯物を干すだけなら小さくても事足りますが、広めで少々余裕があると心地いい。リビングダイニングの外側であれば、居室の延長として、日なたぼっこや、夕涼み、食事も楽しんだり。日よけの庇やオーニングなども考えたいですね。直接繋がり気軽に行き来できると快適なので、居室とデッキは、なるべく段差が無い方が良さそうです。
【スロープ】
玄関先などに、ほしい時があります。多くの場合、住まいの一階は地面より上がっていますし土地そのものが道路よりも少々高い位置にあることも珍しくありません。足腰の不自由から階段を使うことが難しい場合、介助車椅子の活用で段差なく行き来したい場合など、快適にアプローチできるスロープがあると心強いはず。戸建のリフォームで新たにスロープを設けたいという声を聞く機会が増えました。はじめから設けなくても、将来設置出来るルートやゆとりを、予め見込んでおけると安心です。
【大きな窓】
住まいのまわりに、良い景色があったら、ぜひ窓を設けて景色を見たい。窓から見える空や景色は、まさに自分の庭。窓は大きな額縁で、住まいに飾られた「とっておきの絵画」だと思えたなら、もはや屋内に何の飾りもいらないかもしれません。街中に建つ住まいでは、道行く人や隣家との見合いに注意しながら、自然の光と風も取り込みたいので、窓の開き方や方角も大切ですね。もちろん全部で無くて良いのですが、住まいの一部に、とっても大きな窓がある暮らし。ちょっとワクワクしませんか?
【一本の樹】
住まいのまわりに、たった一本の樹。それだけでも嬉しい。限られた土地における住まいでは、庭を設けることが難しい場合もよくありますが、そんな時でも、家族を見守るシンボルツリーがあるだけで、豊かな気持ちになります。花や実を付けたり、落葉も風情があります。クリスマスには簡単な飾り付けでイルミネーションも楽しいですね。一本の樹は、住まいの間取りやインテリアに直接関係しない場合でも、住まい手の気持ちや元気が街に現れ、ご家族と街をソフトに繋ぐ、住まいの顔となります。
住まいづくりにおける「住まいのまわり」。
住まい手や土地環境に合わせ様々ですが、より丁寧に考えることで、住まいの個性や魅力に繋がるのでは、と思いつつ私自身が日々メモを重ねています。
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「江戸Styleの家」オープンハウスのお知らせ 2024 年11月30日(土) @小泉拓也+栗原守
「江戸Styleの家」オープンハウスを11月30日(土)に開催します。2005年7月に竣工した自邸兼モデルハウスです。約19年が経過していますので、無垢の木などの自然素材が時間の経過とともに美しく変化(経年美化)している様子を確認することもできます。自然素材の小振りな住まい、あたたかく気持ちのよい和モダンな住まいの雰囲気をご自身の目と心で体感してください。 *「江戸Styleの家」はエコの取り組みでグッドデザイン賞を受賞しました。 *2021年12月「渡辺篤史の建物探訪」、「突撃!隣...