内科医院併用住宅建替え工事計画と間取りプラン@大磯

湘南の大磯で内科診療を続けている「脇内科医院」様から、医院建物の一部を建て替えたいご相談をいただきました。

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建物の老朽化

内科医院はふたつの建物が連ながって1つの診療所になっていました。ふたつの建物のうち 先に建てられた建物は老朽化が進んでいて、安心して患者様に診療を受けていただくことが難しいと医師先生は考えておられたそうです。

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代替りする院長先生

現在の脇院長先生のご子息様も内科の医師で、他県の病院で診療をされていました。今回の機にご実家に戻られて、現在の脇院長先生からクリニックを引き継ぐことになりました。

代替りでは、湘南大磯で永年の診療による信用をこれからも持続していただけるように、クリニックの変わらないところと変えるところとを慎重に見極めて、計画設計を進めることになりました。

工事中の医院機能の整理

建替え計画を進めるにあたって、各建物に振り分けられていた役割を整理確認しました。

  • 建替え工事中に最小限必要な診療役割機能
  • 最小限に絞った診療役割機能の位置
  • 建替え完成後の診療機能とその位置

が何度も話し合われました。

患者様の出入口

既存の患者様用の出入口は 今回の建替え工事では維持される建物にありました。工事中の患者様用出入口はそのまま利用されました。

建替え工事が完成したときには、完成した建物に新たなクリニックの出入口を設けられることになりました。既存の出入口は、発熱外来患者様専用の出入口になりました。

待合室・受付

患者様の待合室と受付は、工事中既存をそのまま利用して、建替え建物完成後は新築建物に待合室・受付は移されることになりました。

既存受付は建替え完成後、発熱外来患者様用の対応受付になりました。

診察室

診察室も既存建物の部分に集約されることになりました。

建替え建物完成では、診察室に連結して検査室・処置室が設けられました。

X線室

X線室も既存部屋を継続利用されることになりました。

ただレントゲン機器は工事完成にあたりアナログ機器からデジタル機器に取替えられることになりました。

X線室が工事期間中、継続利用出来ることで、休院しないで建替え工事が行えることになりました。

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発熱患者様 隔離待合室検査室

既存医院における発熱患者様をお迎えする検査室は 今回の工事で解体される建物部分に位置していました。建替え工事中の発熱患者様の診療は、診療受付時間を調整して受付することになりました。

建替え完成後は、一般の患者様の出入口を建て替えられた建物に移し、既存建物の出入口を発熱患者様専用の出入口にしました。既存建物の出入口と待合室とを区切って発熱患者様専用の待合室検査室にしました。

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出入口を2つに分けれたことで、一般患者様と発熱患者様が対面し合わないように出来ました。

患者様トイレ

患者様が利用するトイレは、誰でも支障なく施設を利用できるようにする「みんなのバリアフリー街づくり条例」に基づいて、車椅子の方も利用できる広さにして建替えられる建物部分に設置されました。

  • 入口の幅、扉は引戸
  • トイレ内側の広さ
  • 手摺がある便器
  • 下部に足が入れる洗面器具

など、各部の寸法や設置する器具が規定されています。

スタッフ用更衣室

スタッフ用更衣室は工事で解体される建物にありました。建替え建物完成時にスタッフ更衣室は新しい建物に設けられました。

更衣室は収納もある部屋になり、一つの部屋を棚で区切ることにされました。

休診しない建替え工事

工事中 解体しない建物に診療の機能を集約して維持できたことで、建替え工事中 休診しないで建替え工事が出来ることが確認できました。

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特筆すると X線室を継続利用出来ることが最大の要因です。診察室やその他は建替え工事中、患者様のご協力は必要ですが、診療は維持出来ました。

患者様への診療サービスを休院しないで維持できると分かった際は、医師先生は大変安心されたご様子でした。

医院併用住宅の間取りプラン

必要な部屋を列記して、部屋と部屋との関係性を確認整理すると、1階はクリニック、2階は住居という配置になりました。

1階クリニックは、

  • 一般患者様用出入口
  • 待合室・受付カウンター
  • 検査室・処置室
  • 患者様用トイレ
  • スタッフ更衣室

2階住居は、

  • 院長室
  • 休憩室
  • 応接室

という、構成になりました。

間取りプランが検討・設計されました。

最大限広く

建替え建物は、ご自宅と既存医院に挟まれた位置にあります。この限られた場所に最大限の広さを確保した建物が求められました。

建ぺい率最大面積まで確保

建ぺい率が最大で、さらに限界となる大きさは、建替え工事中の足場が両側の建物の隙間に建てられるギリギリまで拡大された建物にされました。

著者情報

北島 俊嗣北島 俊嗣

北島 俊嗣 きたじま としつぐ

株式会社北島建築設計事務所

お客様の貴重な財産である土地や建物を第一に守り、 より美しくデザイン性の高い豊かな建築環境を実現しています。

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